Nintendo3DSが切り開くブルーオーシャン

日本を代表するゲームクリエイター宮本茂はこんな事を口にする。『アイデアとは複数の事柄をいっぺんに解決すること』。E3で発表されたNintendo3DSはゲーム機でありながら、映画界に対して画期的なアイデアを提供しようとしている。

Avatar」。3D映画における「ジャズ・シンガー」といえる映画が登場した。それから質はともかく、猫も杓子もと3D映画が公開された。

しかし問題がある。映画の宣伝をするのが難しいのだ。3D映画を視聴するには特殊な装置が必要なため、消費者に3Dの魅力を簡単に届けることができない。3D映画の予告編を見るのにわざわざ特殊なメガネを掛けるのはやはり面倒だ。

そこで登場するのがNintendo3DSである。

Nintendo3DSは裸眼で3D映像を視聴できるため、3Dを見ることに対するハードルが事実上なくなる。そのため3Dの魅力を体験するという大きな問題が解消される。何よりも、まだまだ高価である3Dテレビを消費者は買わずにすむ。

しかし、単純だがとても大きい問題がある。Nintendo3DSで3Dへの視聴ができるのが分かっても、Nintendo3DSに映像を送ることが出来なければ意味が無い。わざわざロムカセットに映像をいれて配布するのか。そんなことはナンセンスだ。

だが、この問題はすでに解決されている。

Wiiで提供されている「Wiiの間」というサービスは、現在発売されているNintendoDSiに映像を送ることが出来るのだ。

配給会社としては、すでに実績のあるサービスインフラにコンテンツを乗せるだけで良い。自社の3D表示方法がNintendo3DSに対応するのであれば明日にでも配信できてしまう。

これは最初に紹介した「アイデア」のエピソードそのものだ。配給会社は3Dの映像を消費者に届けることができ、任天堂Wiiのコンテンツを強化でき、新製品のNintendo3DSの魅力をさらに高めることができる。まさに複数の事柄が一度に解決されている。

いま世界を見回してもこのようなサービスはどこにも展開されていない。まさにブルーオーシャンだ。